コミュニケーションが最大のテーマ

トータル・ライフ・コミュニティーは、山口恭一が主催する異業種交流団体である。
「異業種交流団体」という言葉は、トータル・ライフ・コミュニティーの姿を必ずしも正確に伝えているわけではないが、とりあえずこれ以外の言葉で、社会的に認知されたものがいまのところ見当たらないので、この言葉を当てはめておく。いずれにしても、いろいろな業界の経営者が集まって、情報を交換しあう団体であることに間違いない。
トータル・ライフ・コミュニティーが具体的にどのような活動をしているのは、徐々にさぐっていくとして、まずは、山口恭一が、なぜこのような団体を作ることを思い立ったのかという点から、さぐっていきたい。そのほうが、より鮮明に、トータル・ライフ・コミュニティーの全貌について理解してもらえるだろう。
山口恭一は、トータル・ライフ・コミュニティーの設立のきっかけを次のように語っている。
「29歳のときに、突然気が付いたんです。それまで会社をやってきて、ある程度形ができあがってきた。ところが、商品構築にしても、販売方法にしても、人事募集、人材教育、会社規定にしても、なにからなにまで、本を読んで勉強したってことはない。全部人に教えてもらったわけです。それも、自分の業界とは別なところにいる経営者の人に教えてもらってやってきた。私のほうからいえば、まったくの『テイク・アンド・テイク』だったわけです。それに気が付いたとき、やはり、人というのは、本当に大事なんだな、人とのつながり、コミュニケーションというのは、すごく大事なんだなと思った。そこで、初めてうちの会社の経営理念ができた。『コミュニケーションを最大のテーマとする』という理念を立てた」
なによりも人が大事。
しかし、こんなことは、いまさら山口恭一が強調するまでもなく、古今東西経営者は、みんな口をそろえていっていることである。それをことさら強調するからには、なにか考えがあってのことだろう。いますこし、山口恭一のことばに耳を傾けてみよう。
「たしかに、『人が大事』というのは、誰でもいうし、誰でもそう思っている。だけど、じゃあ、それほど大事なことのために、どれだけの時間と能力と金と労力を割いているのかと考えてみると、はなはだこころもとない。実際に実行している人は、少ないんじゃないでしょうか」
山口恭一はある高名な経営者から聞いたというタライの水の例をひいて説明する。
タライの水は、自分のほうにかきあつめようとすれば、手の中から出ていってしまう。しかし、逆に向こうへおし流してやれば、まわってこっちに帰ってくる。つまり、デブ・アンド・ギブ。つねにあたえ続けていれば、そのうち利益となって帰ってくるというのである。
だから、人を大事にしていれば、人脈がふえて、商売がうまくいくというわけだ。
これが、トータル・ライフ・コミュニティー設立のひとつのきっかけである。
もうひとつ、トータル・ライフ・コミュニティーの設立に山口恭一に思い立たせたことがある。
これも、本人のことばを借りよう。
「ついている人間とつきあえば、ツクという話を聞いたんです。人生にはツキがありますよね。ツキをもっている人間がいる。そういう人にくっついていれば、ツキがまわってくるっていうんです、それじゃ、ツイてる人間と付き合おうと単純に考えた」
ツキも、人脈がなければ、まわってこないということだ。