人を楽しませる天賦の“マネージャー”

さて、情報について、また情報人間・山口恭一についていろいろな人に話を聴くうちに、いくつかぼんやりと見えてきたものがある。それを少し整理してみたい。
まず、いずれの人の意見にも共通していたのは、情報は人が基本であるということ。
たしかに長沢純氏が指摘していたように、マスコミ情報といえども、それを流しているのは結局は人である。人を大切にしない人間は、情報をも大切にすることはできないということだろう。
戦国時代の武将は、「人は石垣、人は城」といったが、これを現代風に訳せば、「人は情報、人はデータベース」ということになるだろう。
山口恭一は、20代の頃、なにか分からないことが起きると、徹底的に知人に聴いてまわっていたが、これなどは、まさしく情報の最も有意義なラインを求めていたといえる。書物やマスコミの情報に頼りきるのではなく、生きた情報源としてヒトを使う。新鮮で密度の濃い情報を手に入れるには、これしかないといってもよさそうだ。
そして、ヒトから新鮮で密度の高い情報を恒常的に手に入れるには、いったいどうすればいいのか。。
これもやはり長沢氏が指摘していたように、信頼関係、恋人さがしということにつきるのではないだろうか。。
商売は信頼だ……などといえば、たいていの読者は、「そんなことは分かり切っている」
ということに違いない。しかし、問題は、その信頼を得るために、いったいなにをしているのかということである。
商売上の信頼ならば、契約をきちんと遂行し、約束をたがえなければ、長い時間のうちに培われてくるだろう。すべてのビジネスマンにできることとはいわないが、普通に仕事をこなしているビジネスマンにとっては、ごくごく当たり前のことである。
しかし、情報を提供してもらうための信頼というのは、商売上の信頼ととは、また少しニュアンスが違うような気がする。商売の信頼関係ならば、それを行っている人間の性格や人間性までは関わる部分は少ないだろうが、情報交換となってくると、大いに人間性やキャラクターが影響してくるのである。
それは、さきほど登場してもらった人の全員が、山口恭一のキャラクターを称賛していることでもおわかりいただけるだろう。
弱冠33歳の山口恭一である。完成された人間であるはずもなければ、十分に練り上げられた人格をもっているというのもおこがましいような気がする。
しかし、彼は最低限他人に好かれる人間ではある。それも、性格的に誰からも愛される、というよりも、あえて自分を徹底的なマネージャーの位置におくことによって周囲の人を楽しませ、それによって自分も楽しんでしまうという部分で、他人に好かれる人間であるようだ。いってみれば、演出のうまさである。自分を人と人の間に立たせることで、ネットワークを作り上げ、自分が楽しむより以前にネットワークに参加した人を楽しませてしまう。これが山口恭一の手法だろう。