カリスマからアイドルリーダーの時代へ

パフォーマンス理論の佐藤綾子氏は、女性らしい辛辣な目で山口恭一を見ている。

彼はやたらとネアカですが、たぶんね、落ち込んで暗い気分になっているときは、テーブルの下にもぐりこんでいじいじしていることだってあると思うんですよ。だけど、つぎの瞬間には立ち直って、笑顔になれる。山口恭一さんて、そんな人だという印象がありますね。
一度、彼の誕生日に、チェスコムの篠野社長から、「一度お祝いをやりましょう」と、誘われていたことがあるんです。手帳にちゃんと書いておいたんですけれど、私、その手帳を洗濯機のなかに落としてしまって、すっかりスケジュールが消えてしまった。それで、すっかり忘れて出かけてしまっていたんですけれど、帰ってきたら、留守番電話に篠野社長のメッセージが入っていて、「ヒルトンホテルにいるから、よとしかったらいらしてください」って。それで思い出したんですけれど、約束は5時だった。そのときはもう夜になっていて、慌てて近くの店を叩き起こしてプレゼントを買ってかけつけたのが12時近かった。それでもね、行ってみたら、怒りもしなければ驚きもしない。なんでもないように、2人で平然としてるんです。そんな人なんですね、彼は。
彼のキャラクターの特長は、他人のやらないことを面白がってやる能力だと思っているんですが、それもね、フットワークがいいから、思いたったらすぐにやってしまう。これは、現代にあっては、非常に貴重なことですね。
だいたい政府主導型の長期計画なんていうのは、10年20年かけてやっていますから、やっているうちに、計画そのものが陳腐化してしまう。いまのような変化の激しい時代にあっては、情報をつかんだら、そこからすぐにアクションを起こさなければならない。そうでなければ、世の中のほうが先に動いてしまうでしょう。彼には、そんな世の中の動きの前に自分から動ける素質があるんですね。
異業種交流団体には、カリスマが必要だった時代もあるんですが、彼はカリスマというよりは、どちらかというと、アイドルのような存在ですよね。いまの時代には、そのほうがフィットしていると思います。
本当はね、案外ずるくてしたたかな人なんだろうけれど、それをちっとも見せないところがある。だから、カリスマじゃなくて、アイドルなんですよね。これからの時代には、上から押さえつけるようなカリスマには、情報は集まらないでしょう。誰からも好かれ、みんなを楽しませるようなアイドル的存在のところに情報が集まっていくんじゃないんですか。

ハイテックな時代には、ハイタッチなアイドルが望まれるということなのか。女性の目からみた山口恭一は、男性たちが語ってくれた以上に、複雑な面をもっているようだ。しかし、根本にはやはり、キャラクターの良さがあることは否定できない。いくら情報とはいっても、所詮人間が発信し、人間が受け取るもの。
基本は、人間性なのかもしれない。