同業者の横槍で全国展開を決意

獅子奮迅の働きをしていた若林だったが、今度は同業者の組合から横槍が入った。24時間体制で仕事をされたんでは、こちらの分がなくなってしまうというのである。ここは若林と10年来のつきあいのある印刷資材会社社長の話を聞こう。
「組合には、誘われなかったから入らなかっただけだったらしいんです。それなのに、非難がガンガンきた。ちょうど3台目の機械を買おうとしていた矢先だったはずですね、その機械は3億する高速輪転機。それが組合を刺激したんでしょうね。組合始まって以来の大騒動になりました。印刷機械のメーカー側も、組合に睨まれると商売にならないので、『売らない』なんていい出すし。私とのところにも、印刷資材を売るなと、圧力がありましたよ。『アウトローの若林』なんていう怪文書が出回ってきて、直接の大喧嘩になりました。ほとんど回り全部を敵にまわしていた感じですね。本人もかなりつらかったんじゃないですか」
若林には、読みがあった。このまま24時間態勢を続けていけば、石川県はすぐに制覇できてしまう。どうせ、みんなを敵にまわすのならば、思いきって撃って出よう。大阪に出れば仕事はいくらでもあるーー。
そう考えた若林は、組合からの非難もかえりみず、3台目の印刷機械購入に踏み切ったのであった。
そうなっては我慢がならないのが組合側である。黙ってはいられない。大型機械で安く仕事をされたのでは、死活問題になってくる。そこで、組合に参加していた企業のうち、7社が出資して、共同経営の印刷会社を設立、やはり輪転機を購入して、若林に対抗したのである。
彼らは危機感を感じていたので、若林との関係は、ほとんど戦争状態だった。営業の鋳競り合いが繰り返された。その結果ーー。
組合側の共同会社は、機械を入れたばかりなので、トラブルが多発していた。半年の長があった若林側は顧客のィメージ通り印刷があがるというので、評判がよかった。1度は組合側に頼んでも、満足な仕上がりができないために、若林側に再度注文する会社さえあった。
勝負はついた。結果は若林側の圧勝だった。
現在、わかさ屋美術印刷では、一日にB4換算1200万枚のチラシを印刷している。