仕事の「ツキ」を逃すな!

今井は、「将来、どうなっていたいか」という質問を受けると、次のように答えるという。
「ああなりたい、こうなりたいっていうのはない。オレの将来は、『今』なんだ。今がよければ、将来はもっとよくなっている。だからこそ、今を大切にしなくちゃならない。将来のことなどいえない。
これを、会社で考えると、人が増えればお金がかかりますよね。仕事もとってこなくちゃならない。で、儲けもあがるけれど、1か月、1年のサイクルで切ってみると、みんなゼロなんです。いつまでやってもイタチゴッコ。そうすると、1日がどれほど大切かっていうことがわかってくる。人と付き合うのが、情報を仕入れるのが、どれだけ大切なことかっていうのがよくわかってくるのです。経営者の器にもよるんでしょうが、その中で一番大切なのは、ツキがあって、そのツキをいかに大きくして持続させるかだといつも思っているんです」
だから、今井は大胆なわりに、警戒心が強い。伸び盛りの会社は、これからが一番難しい時期にさしかかるというのをよく理解している。
「このまま行けば行けるだろう、という気がしますよね。でも、そういう時期が一番あぶないんじゃないかな、というのも、売り上げがあがって、人も増えてきますよね、そうすると、どうしても、ルーズになってしまいがちなんです。ここで、逆に引き締めていかなければ、ツキが落ちてしまう。企業のライフサイクルもある。これからの時代は、ひとつの企業が100年も寿命をもつ時代じゃないでしょ。そちらのことも考えておかなくちゃならない。ひとつの業界、ひとつの職種にこだわっているのではなく、他の分野にも目をむけていかなくちゃならない。
また、毎日の仕事では、常に努力を惜しまず、プラス思考で進むこと。任脈を大切にしていくこと。今日この日、いまこの時を大切にしていくこと。これによって、企業が左右されてるんだと思う。ツキとはなにか、ということはよくわからない。占い師にもよく見てもらうんですが、よくわからない。でも、仕事をしていると、バイオリズムを感じるんですよ。何がどうしたということではないけれど、『今回は落ちているな』とかがわかる。売り上げや電話のかかり方といった具体的なことではなくて、なんかそんな感じがあるんです。ある種の動物的なカンかもしれない」
自分のツキを確認する一番いい方法について、今井が秘密を教えてくれた。どうすれば、自分がいまついているか、ついていないかがわかるのか。
「ツキを確認する一番いい方法は、人と会うことなんです。ついている人と会って、ワイワイいっていると、自分がついていることがよくわかる。逆に、ついていない人と会うと、ああ、 この人はついていない人なんだなということがよくわかる。人を鏡にして、自分がわかるわけです。
人が大きくなるためには、やっぱりそれなりの人の話を聴くべきですよね。そういう人と付き合うためには、勉強もするから、結局自分が大きくなっていくんです」
今井にとって、「ツキ」はビジネスのなかで、非常に大きなウェイトを占めているのである。
このようなビジネスの大きな流れにのって、今井はさらに新しい分野に触手をのばそうとしている。
そのひとつに、雪国用の雪溶解装置がある。
これは、雪国でもっとたいへんな労働である雪下ろしをしなくてもいいようにするために、屋根に発熱装置を取り付ける工事である。外壁工事のひとつの発展形として、このような分野もあるわけだ。
本来の防カビから出発して、結露防止、リフォーム、ウッドクリーニングの4つの柱を建てている環境美健だが、ここにきて、あらたに外壁クリーニングが加わり、柱が5本になった。そしてさらに、雪下ろし装置が加わろうとしているし、今井は、将来は、不動産業にも手を出したいといっている。そのようなビジネスの回転に、ツキがついてまわっていくかどうか、これからの今井の行動を、じっくりながめていきたいところである。