業界のなかでは、いいたいことをいえない

さて、今井は、トータル・ライフ・コミュニティーについてどう考えているのだろうか。また、情報というものに対して、どんな考えをもっているのだろうか。次にそれを探っていきたい。
「ビジネスに関しては、いろいろ勉強しなくちゃならないことが多いですよね。でも、会社をやっていたら、目の前の仕事に追われてしまって、なかなか勉強なんかできない。そんな時間なんか、とれないですよ。でも、人と会うのならば、簡単にできる。それでいて、ちゃんと勉強になる。だからぼくは、トータル・ライフ・コミュニティーの会合には、どんなに無理をしても出席するようにしているんです。人と人の触れ合いが、情報の要だというのは本当だと思う。ことにトータル・ライフ・コミュニティーのような異業種の集まりは、いいたいことがいえるから、本質的な情報が集めやすいんです。これが同業者の集まりだと、警戒もするし見栄もはる。なかなか本音が出てこない。でも、異業種ならば、気楽だし、なんでもいえる。こちらもいうし、 相手もいってくれる。そこがいいところですよね。『この前、キミの会社に入ったら○○だったよ。もっと××したほうがいいんじゃないか』なんて話が、気楽にできるわけです。そういうアドバイスが意外に深く胸にぐさっとつきささる。それが本当に役にたつアドバイスであり、情報なんです。で、そういう人と根本的な部分で付き合わせてもらうというのが、実は情報の根源なんです。ひとつの業界のなかじゃ、こうはいきませんよね」
今井の経営上の信念はたったひとつ、
「なせば成る」
この一言だけを柱にしているというのである。
「若い頃から」、ナポレオン・ヒルの成功哲学を感動して読んでいたんです。いまでも1年に1度は読み返しますが、やはり、人間、やれば必ずなんでもできるんだ、できないことなんか、世の中にはひとつもないんだ、と確信を深めますね」
しかし、その後で、今井はもうひとつつけ加えた。
「信念ということでいえば、『なせば成る』なんですが、それともうひとつ大切にしたいと思っているのは、やはり『人』なんです。やっぱり『人』を大切にしたい。いや、人を大切にしなければ、ビジネスは成り立っていかないと思う」
その「人」との信頼関係を結ぶために、今井はなにをしているのか。
彼は、山口恭一が、「電話がかかってきたり、ファックスが流れてきたりしたら、20分以内に返答する」という話を聞いて、自分でも実行しようとしている。すくなくとも、1日のばし、2日のばしにするような真似だけはするまいと決意している。
「あまりルーズな仕事をしていると、入ってくることと、出ていくことがまったく違ってくるんです。入ってくることばかり多くなりすぎて、出ていくことが溜まってしまう。こうなってしまうと、頭のなかがパニックになってしまって、仕事にならない。現在の仕事に関していえば、外壁クリーニングのマニュアルがまだできていないんです。これも別になくてもやれるわけですが、あれば、教育をしていない素人でも仕事ができるようになる。薬品をどう扱うか、機械をどう扱うか、素人でも分かるマニュアルがあれば、仕事はぐっと広がるんです。そういうことも、1日のばしにしていると、全然別の方向にスライドしていく危険がある。なんでも早くやってしまったほうがいいに決まっている」
それはつまり、ツキを逃してしまうということなのだろうか。今井は、案外ツキを気にする。以前は、字画が悪いというので、別の名前の名刺も作ったこともあるくらいだ。
「ツキというのはすごく大事だと思うんです。お金のツキ、人のツキ、仕事のツキ、いろいろありますが。トータル・ライフ・コミュニティーのメンバーもぼくもそうなんですが、すごくツイているような気がするんです。なによりもまず人脈のツキがあるでしょ。これで苦労したことがないんですよね。会社を起こすときには、だれでも苦労するもんですが、人脈に恵まれていたので、そんな覚えがない。すごくたすかっているんです。
ツキがあれば、プラス発想ができる。マイナスの材料も好転していく。このツキをどう逃さないようにするか、どうやって大きくしていくか、これが大切だと思うんです」