ニューフランチャイズシステムは人・物・金の三権分立

フランチャイズを始めた山口恭一の頭からは、どうしても、“情報”の2文字が離れなかった。情報の中心にいる人間こそが、世の中の流れを的確につかみ、ビジネスで成功を収められるのではないかとの思いがますます強くなっていった。
そこで出てきたのが、平成元年3月に発表されたフランチャイズ・オーナーズ・システムである。
これまでの常識としては、フランチャイズに参加する者は、それなりの準備資金を用意して、本部に申し込み、自分で経営に乗り出さねばならなかった。トータル・サービスの場合では、初年度投下資金として機材のレンタル料などを含めて656万円が必要だった。分割にしても、初回の払い込み金が320万円必要である。
ところがこのシステムでは、「参加したいが資本金がない」という者や、「投資したいが実際の経営がわずらわしい」という者の欲求を満たすことじゃできない。フランチャイズを長年手がけてきた山口恭一には、そんなニーズが案外多いという情報がいくつもインプットされていたのである。
で、山口恭一は頭をひねった。
「カネはないが、仕事はやりたい。カネはあるが、仕事はやりたくない。この両者を結び付けるのには、どうすればいいのか」
そして、ある日、ふっとひらめいた。
「なんだ、簡単じゃないか。両方に、あるモノを出してもらえばいいんじゃないか。カネのある人にはカネを。労力のある人には労力を出してもらえばいいだけだ」
情報の真ん中にいると、頭の回転が早くなるのか、感覚がするどくなるのか。2つの別々の情報をうまく結びつければ、コロンブスの卵のように新しい局面が見えてくるものだ。
そうやって、フランチャイズ・オーナーズ・システムが誕生した。
当初30口募集したオーナー側は、1口500万円のフランチャイズ取得権料を支払う。これに対して、月間2.5パーセント、年間30パーセントのオーナーフィーを5年間受け取ることができる。
これにたいして、実際の経営者側は、100万円の自己資金を保証金として預けるだけで、フランチャイズに参加できるのである。ハウスクリーニングやウッドクリーニングに必要な機材と用材を貸与されるほか、営業・技術の両面で指導を受けることができる。2週間から2か月間の研修後は月々35万円の支払いが発生するが、トータル・サービス本部からは、年間264万円相当の仕事の紹介と、46万8千円分の洗剤の無料支給が受けられる。
つまり、仕事を欲しがっている人に仕事を提供し、資金の運用をしたがっている人には、そのノウハウを代行して提供するのである。
画期的なシステムであるが、トータル・サービスではオーナー募集に関しては、積極的な広告活動は行わなかった。仕事を流せる分だけしかフランチャイズができないためでもあったが、結局は、山口恭一を信頼する人間しかオーナーとしては参加してこないと考えたからであった。また、最悪オーナーがさほど集まらなくても、トータル・サービスがオーナーになればよいとも考えていた。しかし、オーナーの申し込みは、順調である。
こんな発想は、情報の真っただなかに自分を置いているからこそできるものである。
「仕事がしたい」という人と、「カネを投資したい」という人の情報をコーディネイトしたからこそ生まれたものである。
この事業を展開した感想を、山口恭一は「いままでよりいっそういろいろなものが見えてくるようになった。やはり、時代のニーズにマッチしているシステムなのだと思う」と語っている。