自分は経営者としてしか生きられない

トータル・ライフ・コミュニティーの主催者である山口恭一は、「起業家精神」という言葉をしばしば口にする。
英語でいうアントレプレナーシップ。つまり、事業を起こし、それを運営していくための基本ポリシーである。
まず、山口恭一自身のことばに耳を傾けてみよう。
「起業家精神は、簡単にいってしまえば、『自分は経営者としてしか生きられない』と思い込むところからスタートするといってよいのではないでしょうか。それも、論理が問題なのではないんですね。『自分が経営者になりたい』という感情が前面に出ていること。それが非常に大切なんだと思う。儲かるからやろうというだけでは、ちょっとさみしい気がするんです。もっとも、仕事をするには、三つのタイプがあると思う。まずひとつが、この『起業家』。そして、『企業内の起業家』。これは、アントレプレナーのようにリスクは負わないけれど、熱意をもって仕事を作り出す人です。それに、専門職の『スペシャリスト』があります。ぼくは、この三つのなかの、『起業家』になりたいと思い込んでいたんです」
彼がいわんとしているのは、発想の根源に、「経営者になりたい」という感情がなければ、事業家として必ず突き当たる壁にぶつかったときに、それを乗り越えられないということなのである。
人間は、壁にぶつかると、つい逃げ出したくなってしまう。障害が大きければ大きいほど、立ち向かう気力が失せてくる。
しかし、ここで逃げてしまうようでは、アントレプレナーとはいえない。勇猛果敢に障害に立ち向かわなければ、ビジネスは成就しないのだから、どんなに障害が大きくとも、それに立ち向かうようでなくては、起業家とはいえないのである。
通常のビジネスだって、障害は多い。まして、事業を起こし、新しく会社をっくるとなると、障害は山のように押し寄せてくる。いや、企業の始まりなどというものは、そもそも津波のように押し寄せてくる障害を、一つひとつどう片づけていくかといった作業であるような気さえする。
もう一度、山口恭一の言葉に耳を傾けてみる。
「自分を逆境における人。あるいはもうすでに逆境にいて、コンプレックスをもっていて、そこから抜け出したいと思っている人。負けたくないと思っている人。あいつからは遅れている、これをやらなきゃ駄目だ、そう思っている人。あるいは、そういう立場に自分を追い込める人。
それが、起業家なんです。別の言葉でいえば、起業家とは、自分を追い込む気持ちが一番強い人だといってもよい」 山口恭一の言葉は論理ではない。感情である。しかし、感情だからこそ、論理的な壁を打ち破れるともいえる。そのパワーが山口恭一の起業家としての強さである。
「もうひとついえば、すぐに行動に移せるっていうのも、起業家の条件だと思う。すぐに行動に移すクセのある人というのは、素直で発想の転換も早いから、いくらでもアイデアが湧いてくる。そして、またすぐに行動に移すから、アイデアがどんどん無限に湧いてくる」
確かに山口恭一のいうように、頭のなかで考えているだけでは、どんなアイデアも意味がない。まずは行動。行動の積み重ねがまた新しいアイデアを生み出すのである。
では、山口恭一は現在まで、どのような行動を積み重ねてきたのだろうか。
彼のこれまでの事業の遍歴をみていこう。