マッサージギフト券も登場

トータル・ライフ・コミュニティーの共同事業やメンバーの協力によって生まれた新規事業は、以上に書いたものばかりではない。
たとえば、ユニークなのが、3社が参加して行っている“マッサージギフト券”。これは、アイディア会議の席上、松江の材木問屋福間商店の福間一夫社長から出されたアイディアだった。これに健康食品販売のKSKシステムの三上治と印鑑販売の東洋堂の松森武夫が賛意を示し、なんとか商品化したいということで話がすすんだ。
そこで、話は即座に全日本鍼灸マッサージ師会にもちこまれ、役員会でも、ほぼ決定に近いところまでこぎつけている。デパートやスーパーなどからも、「取り扱いたい」との引き合いがすでによせられている。具体化すれば、電話1本でマッサージ師が自宅まで出張してくれて、ギフト券で精算できるという画期的なシステムが誕生することになる。
このほかにも、信販会社の紹介システムといったものもある。
これは、トータル・ライフ・コミュニティーとタイアップしている信販会社に、割賦販売の加盟店を紹介すれば、紹介者は、売り上げに応じたフィーがもらえるシステムである。加盟店側には、トータル・ライフ・コミュニティーの紹介があれば、金利面で優遇されるというメリットがある。信販会社、トータル・ライフ・コミュニティーのメンバー、加盟店、それぞれにメリットのあるシステムだといえるだろう。
さきほど登場した(株)龍道と理容・美容の(株)ケインが提携して、韓国からレザー製品を輸入販売しているというケースもある。これは、カシミアの視察に訪れた韓国でもちあがった話が具体化したケースである。
さらに、これらのほかにも、メンバー同士が1対1でジョイントしているケースもある。そこまでは、事務局側でもとても把握しきれていないという。メンバー会社のビジネスを、自分のところの新規事業として取り入れているところも、いくつかある。
また、ニュービジネスの提案ならば、毎回のアイディア会議で、いくつもなされている。最近提案されたビジネスを紹介しよう。

・伝言ダイヤル 石油販売の大進石油(株)の提案。住友商事が開発した伝言ダイヤル装置を設置して伝言センターを開設、登録者をつのるビジネス。登録者には、番号を売り、時間単位の度数で利用してもらう。利用者は自分の留守番電話を買ったのと同じメリットがある。

・香りつけビジネス 大阪ガス系列の(株)オー・ジー・産業の提案。テレホンカードやハガキを持ち込めば、それにどんな香りでもつけてしまうというビジネス。香料そのものの販売はせずに、持ち込まれた品物に、香りをつける。

・コンテナのカラオケスタジオ (株)目加田の提案。海外から大量輸入したコンテナを、有限会社エステー工芸が内装を担当して、販売するビジネス。遊休不動産をもっているところがターゲット。価格は、内装代、レーザーディスク代など込みで6百数十万円。このところ急激なブームになっているカラオケスタジオのコンテナ版であるが、現場でのトラブル処理のノウハウをもっているのが強み。県によっては未成年の非行防止のために、窓をつけなければならないと条例で定められているところもある。
 ・業務用洗剤 有限会社エイチ・ピーー・デーの提案。同社はもともと業務用洗剤の販売会社だが、最近になって某有力ブランド洗剤の製造販売権を手にいれた。その製品は、自衛隊、JR、日産、トヨタ、いすず自動車などに納品実績のあるたしかなもの。戦車のキャタピラやディーゼル機関車を洗う特殊なものである。エイチ・ピー・デーの高杉武夫社長は、「人間関係を大切にしていたから、ツキが向いてきて、製造販売権が手にいれられた」と語っている。
さて、これらのように続々と新規ビジネスの提案があるのだが、トータル・ライフ・コミュニティーの中村事務局長は、異業種交流によるニュービジネスをどのように見ているのだろうか。
「異業種交流団体というのは、全国に何千とありますが、本当の意味での異業種が集まっているところは少ないですよね。さらに、そこからなにかを生み出しているところとなると、極端に少ないのではないでしょうか。
トータル・ライフ・コミュニティーには、製造、小売、サービスなど、本当の意味でばらばらな異業種が集まっているんですね。しかも、それが全国に広がっている。もし、ひとつの地域でやっているならば、たとえ新商品や新企画のアイデアが出ても、利害関係があるのでうかつに相談はできませんよね。お互いにライバルなわけだから、そのあたりがクリアーされているのが、トータル・ライフ・コミュニティーの特徴でしょうね。
立場上、あちらこちらの異業種交流会に参加していますが、トータル・ライフ・コミュニティーとは、かなりちがっていると思います。1番多いのは、なんといっても、自分の商品を売り込みたいという意識で団体に参加している人ですが、これならば、新聞広告やビジネス情報誌を使ったって十分できるのではないかと思う。そちらのほうが、時間もかからないでしょう。
だから、ようするに、トータル・ライフ・コミュニティーでは人間的なお付き合いが先なんですね。そのうえで、お互いにビジネスで協力できるところがあれば協力するというスタンスがある。この距離の取り方がもっともすぐれているのが、トータル・ライフ・コミュニティーの特徴だと思っています」
たしかに、異業種交流といえば、目の色を変えて、「なんとか商売に結びつけてやろう」としている人間が多い。しかし、やはりビジネスは人間がやるものなのだから、じっくりと人と人としての付き合いを深めてから、ビジネスの話をしても遅くはないだろう。いや、むしろ、そのほうが、胸襟を開いた話し合いができるのではないだろうか。