ビデオレンタル店開店の“プロジェクトチーム”

さて、さきほど登場していただいた(株)タルイシは、工作機械工具や物流機械の商社である。山形県山形市が本社。この分野のシェアでは、東北一を誇っている。年商は50億円。従業員数80名。
この(株)タルイシの渡部政紀社長は、アイディアバンク発行の『アントレプレナー』誌でトータル・ライフ・コミュニティーの存在を知って興味をもち、山口恭一の講演を聞いて、入会を決断した。
ある時、山口恭一は渡部に依頼されて、山形で(株)タルイシの社員のために講演にでかけた、その時、渡部は山口恭一に空いてる土地を示して、相談をもちかけた。
「せっかく会社の敷地が余っているので、なにか新しい商売を始めたいと思っているんですが……」
遊休地は街道に面した1500坪。
このとき、山口恭一はとっさにビデオレンタル店を経営している滋賀県のメンバー、(株)目加田の目加田信平社長の顔を思い出した。大都市では、すでに飽和状態になっているビデオレンタル店だが、地方都市ではこれからの商売だ。
しかも、都会では、店舗面積が狭いので、用意しているソフトも5000本から10000本止まりである。どうしても見たいビデオを探して、何軒もの店をハシゴする客もいる。これにひきかえ、広いスペースをとれるレンタルビデオ店ならば、客もそんな苦労をせずにすむし、後発店が出現しても、十分たちうちできる。
山口恭一はさっそく目加田に連絡をとった。彼ならば、すでに3店舗も経営しているから、ノウハウはたっぷりともっている。そして、名古屋市で店舗設計を営むメンバー、有限会社エステー工芸の吉岡司社長に相談するようつけくわえた。
そのひとことで、東北から近畿にかけて、日本を縦断する“プロジェクトチーム”が組まれたのである。トータル・ライフ・コミュニティーのメンバーがノウハウを出し合って、メンバーのために、力を貸したのであった。山口恭一自身も、勉強のために、(株)目加田の店を見学に行ったりもしている。
その結果、ビデオテープとCDの大型レンタルショップが開店した。営業してみると、予想を上回る実績をあげることができたが、それも好調なビデオレンタル店のノウハウを学んだからだろう。
たとえば、営業時間。朝8時から翌朝3時までと決めたが、渡部は当初、「そんな夜中に客がくるのだろうか」とかなり不安だったという。しかし実際にふたを開けてみると、むしろ午後10時を過ぎた頃のほうが客足が多いことが分かった。
また、客扱いにも、ノウハウがいかされた。
ビデオソフトのなかには、アダルトビデオなど借りるのを人に知られたくないものもある。そこで、あまりなれなれしい態度をとらないように、店員を教育した。これも、評判は上々である。
店には、日本一の300坪のスペースに2万本のソフトをそろえ、しかも200台分の駐車スペースがあるので、客足は増える一方だという。この分だと、初期投資は順調に回収できそうな様子である。
このような新規事業も、トータル・ライフ・コミュニティーにさまざまな業種のメンバーがつどっていればこそ、可能なのである。
しかも、このケースの特徴は、協力体制が、全国規模で行われたことだ。もし、仮に同じ地域内で、こんな話が持ち上がったとしても、先発のレンタル店が、後発で参入したがっている店に、ノウハウを提供するなどということはありえない。商圏が違うからこそ、オープンな体制で協力できあえたのである。
さらに、もうひとつつけ加えるとすれば、ここには山口恭一というフィルターが介在しているということだ。これが、協力したメンバー同士の信頼を高める効果を発揮していることはいうまでもない。