信頼に基づく「軽いノリ」

話がある程度進んだ段階で、山口恭一はカシミアの話をトータル・ライフ・コミュニティーのアイディア会議で発表した。
「なんだよ、それいくらかかるの」
「600万くらいかな」
「じゃあ、ぼくが半分だすからその話、1枚乗せてもらえない?300万円ずつですむじゃない」
「あ、オレも乗った、乗った。オレも入れてくれよな」」
 話を聞いていなかったメンバーまで、
「なに、それ。よくわかんないけど、オレも1枚乗せてもらおうかな」
そんな調子で、つぎつぎと出資者が集まって、最終的には8社が出資することになったのである。トータル・ライフ・コミュニティーの共同事業は、たいていこんな風にして、いつの間にかもりあがってしまうのだ。
もちろん、海外での事業だから、じつはそんなにことが運んだわけでないことは、前述の山口恭一の述懐でもおわかりのことと思う。途中ではいろいろ解決しなければならない難問があり、人知れぬ苦労も多かったのである。しかし、そんな苦難も、山口恭一はつぎつぎと乗り越えていって、筋道をつけ、事業を形にしてしまったのである。
そんな山口恭一の実行力があればこそ、トータル・ライフ・コミュニティーのメンバーたちも安心して出資できるわけだ。メンバーの「軽いノリ」には、山口恭一への深い信頼感、山口恭一のフィルターを通した事業ならばまちがいはない、という確信にも似た思いがある。つまり、山口恭一に対する信頼感がなければ、カシミアという事業は、とても成り立たなかったのである。